サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)は、日本の代表的な音楽学校である桐朋学園大学 音楽学部の創設者のひとりであり、偉大な教育者であった故齋藤秀雄の没後10周年にあたる1984年9月、同氏の愛弟子であった指揮者の小澤征爾が秋山和慶とともに呼びかけ、齋藤の薫陶を受け、世界各地で活躍している音楽家100余名を日本に集め、メモリアルコンサートを行ったのが出発点となっています。
東京、大阪のコンサートでは世界最高水準に肩を並べる見事なアンサンブルと魂のこもった演奏が絶賛を博するとともに、ひとりの教育者の音楽への真摯な思いが残した遣産の大きさを改めて認識させました。
その評価は海外にも伝わり、1987年9月小澤征爾と秋山和慶のもと、サイトウ・キネン・オーケストラとして正式に第1回のヨーロッパ演奏旅行を行い、ウィーン、ベルリン、ロンドン、パリ及びフランクフルトの各地で絶賛を博しました。
その後もヨーロッパ、アメリカの各地に演奏旅行を重ね、その実績と評価は揺るぎないものとなりました。
このオーケストラメンバーは、通常、ヨーロッパやアメリカ、日本のメジャーオーケストラの主要メンバー、ソリスト、室内楽奏者、教育者として活躍しており、多数の世界的なコンクール入賞者が含まれております。それぞれの演奏家は、個性豊かな音楽性をもっているにもかかわらず、齋藤秀雄に直接教えを受けたことや近年では齋藤の孫弟子の参加により、基本的な演奏テクニックや音楽に対する考え方が驚くほど一致しており、緻密なアンサンブルと意欲的・自発的な演奏がこのオーケストラの特徴となっています。
このオーケストラの念願であった、国際レベルの音楽祭を1992年から長野県松本市で毎年開催することになり、これを安定的、永続的に運営し、以てわが国の音楽芸術の発展に寄与することを目的として、多方面の賛同を得て財団法人サイトウ・キネン財団が設立されました。
わが国の交響管弦楽およびオペラ等音楽総合舞台芸術の普及振興を図るため、サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)による世界最高水準の音楽祭を開催するとともに、次世代若手音楽家の育成に努め、またSKOの海外公演等により音楽芸術の国際交流の促進を図り、同時に義務教育世代への音楽情操教育を積極的に支援し、もってわが国の創造的音楽芸術活動の発展に寄与することを目的としています。